読後感~文型が20年後も生き残るためにいますべきこと(岩崎日出俊,2017)~

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図書館で見かける

私自身、高校で文系を選択し、大学では初等教育学を、大学院では英語教育を勉強してきた生粋の文系人間です。大学で身につけたことはなにかと言われると答えに困ってしまうところもあり、(いや、英語をやったりロシア語をやったり、クラシックギターを弾いたりしていましたと言いたいけれども)、「なにか専門的でカッコいい」ことをしている理系に憧れもありました。今後の社会の変化の上では文系として何ができるのかなど漠然とした不安感もあり、図書館でこの本を目にしたとき手にせずはいられませんでした。自分の行動を振り返りながら興味深く読むことができました。
そこでの気付きや感想を3つに絞って書いてみました。

1.なんとなくで文理選択をしていないか

日本の学校では高校1年生や2年生で文理選択をします。著者は本の中でも、この時点で既に自分のなりたい職業を考えている子どもはそれほど多くない。そのため、文系を選択する子どもは、「将来勉強したいことが明確になっていない」「数学が苦手だから」という理由で選ぶ子どもが多い。ということを書いていました。
私自身もそのタイプで、高校1年生の終わりに数学の成績が良くなかったため、文系を選びました。大学では小学校の先生になるために教育学部に入ろうとは考えていましたが、学級担任制で全教科を教える学校の先生を希望する上で、文系にこだわる理由は特にありませんでした。今思えば、数学が苦手だった理由は勉強をしていなかったためだと思います。持病があったという理由もありましたが、安易に文系を選択したことは今でも反省をすることがあります。
また、海外では文系理系といった分類はされていないということも書かれていました。私の留学したときの実感でもその通りで、アメリカ留学時には文系理系の説明は難しかったことを覚えています。日本人にとっては当然のことも国が違えば状況も異なるということを経験できた違いだったと、本を読んで改めて感じました。ただ、欧米でも文系に相当する学生の学力や学習意欲の低下が問題視されているそうです。

2.社会に出てからも勉強しよう

この本の肝になる部分はこの言葉に要約されるのではないかと感じました。つまり、「社会人になっても自分を磨いて成長を続けよう」ということです。世界の様々な国にと比較すると、大人になってからの日本人の学習意欲は低いようです。本の中にも「文系の成長は18歳で止まっている」という項目で文章があるほどでした。これには、積み上げていかないと次に進めない理系の学問分野に対して、文系の学問分野は異なるとの理由も書いてありました。確かに、心理学の知見や教育方法は、いわゆる「積み上げ形式」でなくても理解できるものもあったと感じました。(ただ、その知見や教育方法の検証のためには、理系的な知識を持って調査・研究をする必要があります。そのため、大学院レベルでは文系であっても、統計や数理モデルの知識はあったほうがいいと感じました。)こういった違いが、勉強せずとも卒業できるといった風潮につながったとされています。
そして、社会になってからも勉強を続けて自分のできることを増やしていくことが重要です。大学卒業から数えても、社会で働く期間は30年を超えるので、意識次第でいくらでも知識を増やすことができます。

3.三種の神器と「自分の頭で考える」力

社会に出てからも勉強しようと言っても何を勉強すればいいのか。それについても岩崎先生は述べられていました。それは、「英語、ファイナンス、コンピュータ(プログラミング)」だそうです。そして、日本の「悪い意味での」同調圧力に負けず、自分の頭で考える力が重要とも書かれています。私自身も、上記の3つの力を伸ばしながら、自分の興味や関心の強い、言語・教育・学習の分野の知識を深めていきたいと感じました。

参考図書:岩崎日出俊『文系が20年後も生き残るためにいますべきこと』(2017)イースト・プレス

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