治安・生活・学習環境を留学生視点で徹底解説
アメリカ留学というと、多くの人がロサンゼルス、ニューヨーク、ボストンといった大都市を思い浮かべるかもしれません。しかし、もしあなたが「静かに学びたい」「誘惑の少ない環境で集中したい」「でも自然豊かな街で暮らしたい」と考えているなら、ネバダ州リノ(Reno)は最適な選択肢です。
本記事では、現在 University of Nevada, Reno(UNR)の大学院に在籍し、教育とテクノロジーの交差領域に関心を持って学んでいる筆者が、ガイドブックではわからない「留学生目線のリノ」を紹介します。
今後、UNRの授業や研究環境について詳しく扱う記事も公開予定です。本記事は、その“基礎編”として読んでいただければ幸いです。
■ 1. リノはどんな街?
「The Biggest Little City」の素顔
リノはネバダ州北西部に位置し、ラスベガスに次ぐ第2の都市です。街の象徴として掲げられているのが、
“The Biggest Little City in the World(世界で一番大きな小さな街)”
というフレーズ。都市の利便性と、小さな街の温かさがほどよく混ざり合った独特の魅力を表しています。
● 300日以上が晴れ!乾燥した「High Desert」気候
リノに暮らしてまず驚くのは、空の青さと澄んだ光です。標高約1,300メートルのため湿度が低く、年間300日以上が晴天。日差しは強いものの、影に入れば涼しく、からっとした気候のおかげで夏でも過ごしやすい日が多いのが特徴です。
春は新緑がまぶしく、夏は夜9時前まで明るい日が続きます。秋には街路樹が黄金色に染まり、冬はときどき雪が積もりますが、翌日には太陽が溶かしてしまう爽やかな冬です。
キャンパスの夕方には、乾燥した空気のおかげでオレンジから紫に変わるグラデーションの空が見られ、思わず足を止めて眺めたくなるほど。これはリノならではの光景です。
● 治安:時間帯の意識さえあれば安心
リノは大都市と比べれば落ち着いており、UNR周辺(University District)は学生が多く、昼夜問わず人の気配があります。
ただし、ダウンタウンの一部は夜遅くの単独行動は避けた方が良いエリアもあります。
ポイントは以下の通り:
- 大学周辺は安全で学生向け住宅が多い
- 深夜にダウンタウンを一人で歩かない
- スーパーやレストランは明るい時間帯の利用が基本
「時間帯で場所を選ぶ」という意識さえあれば、多くの留学生が問題なく生活できる環境です。
■ 2. University of Nevada, Reno(UNR)
歴史あるキャンパスと最先端の学習施設
UNRは1874年創立の州立大学で、研究大学としても評価の高いR1大学に分類されています。キャンパスは「映画のようなアメリカらしさ」と「近未来的な設備」が共存しており、歩くだけでモチベーションが高まる場所です。
● The Quad:映画のワンシーンのような空間
キャンパスの中心にある「The Quad(クワッド)」は、UNRの象徴的な広場です。大きなニレの木が並び、レンガ造りの校舎が囲む風景は、まるでアメリカの大学映画のワンシーン。
春には芝生が鮮やかに輝き、ベンチでは読書やランチを楽しむ学生が集います。リスが駆け回る姿もよく見られ、緊張感が和らぐ“癒やしスポット”でもあります。
● Mathewson-IGT Knowledge Center(MIKC)
最新ICT × 静寂 × クリエイティブの三拍子
MIKCは単なる図書館ではありません。
「知のインフラ」とも言うべき学びの拠点です。
特徴は次の通り:
- @One(デジタルメディアセンター)
VR/ARルーム、高性能PC、動画編集スタジオ、3Dプリンターなど、クリエイティブ作業に必要な設備がそろっています。 - 学習スペースの多様性
静寂の「Quiet Zone」から、ホワイトボード付きの個室、カジュアルなソファ席まで、
“今日はどんな集中の仕方をしたいか” に合わせて場所を選べます。
筆者も朝のコーヒーを片手に、MIKCの大きな窓から差し込む自然光を浴びながら読書をする時間が、最も好きな習慣の一つです。
● Wiegand Fitness Center:研究の合間に“最高のリセット”
UNRの巨大ジムは4階建てで、筋力トレーニングからランニング、バスケットボールまで幅広く対応しています。
夕方の時間帯には、窓の向こうにリノの夕焼けが広がり、赤紫色の空を眺めながら走ることができます。研究に行き詰まっても、ここで汗を流すと自然と気持ちが切り替わります。
■ 3. リノでの生活
● 食文化:AYCE寿司とアジア料理の充実
リノに来ると驚くのが、「寿司の人気」です。
”All You Can Eat Sushi”(食べ放題スタイル)は学生の定番で、ランチなら20〜25ドル。ロール寿司が中心ですが、研究仲間との“打ち上げ”の定番コースになっています。
さらに、韓国料理、ベトナム料理、タイ料理などアジア系のレストランも多く、日本人の味覚に合う食事が手軽に楽しめます。
● 買い物事情:日本食材は問題なし
- Walmart
- Trader Joe’s
- Costco
- アジア系スーパー
これらが揃っているため、日本食材(味噌・醤油・豆腐・お米・冷凍うどんなど)に困ることはありません。
生活コストはカリフォルニアの都市部より安く、“留学生にとって無理のない水準”といえます。
● 交通:車があると便利、なくても生活可能
リノは基本的に車社会ですが、UNR周辺に住むなら車なしでも生活できます。
- RTCバス(学生優遇あり)
- UNRの学内シャトル「Pack Transit」
これらをうまく使えば、授業・スーパー・市内移動は十分可能。
とはいえ、タホ湖や郊外の観光地へ行くなら、車があると行動範囲が広がります。
■ 4. 週末は絶景へ:Lake Tahoeと西海岸
リノの魅力は、自然の近さにあります。
● Lake Tahoe(タホ湖)
車で約45分。
透明度の高い“タホブルー”の湖とシエラネバダ山脈の絶景が広がります。
- 夏:ハイキング・カヤック・湖畔での読書
- 冬:世界有数のスキーリゾート
筆者も、研究で煮詰まったときにはタホ湖へ向かい、湖の青さに心を整えてから帰ることがあります。
● 西海岸アクセスも良好
- サクラメント:車で約2時間
- サンフランシスコ:車で約4時間
連休には気軽に都市観光に出られる立地です。
■ 5. 大学院生の1日のモデル
08:00 起床・朝食
09:00 図書館のカフェで予習
10:00 授業(ディスカッション中心)
12:00 Student Unionでランチ
13:00 課題・リサーチ
16:00 教授のオフィスアワー
17:30 ジムでランニング
19:00 帰宅・夕食
21:00 読書・課題
24:00 就寝
■ 最後に:リノは「自分と深く向き合える街」
派手さはありませんが、リノには
落ち着いた学習環境・整備された大学施設・美しい大自然・温かい人々
があります。
大都市の喧騒から離れ、青く広い空の下で、自分の専門にじっくり向き合いたい人にこそ、リノはおすすめです。
(Writer Profile)
ネバダ大学リノ校(UNR)大学院在籍。教育とテクノロジーの交差領域に関心を持ち、学習環境デザインや国際教育に携わる。リノの青空と図書館の静けさ、そして多様な人々との交流に魅力を感じながら研究生活を送っている。
